月の下で結ばれた花冠は、
卒業の日にほどかれるはずだった。
けれど、黒百合は忘れなかった。
紫薔薇が選んだ、たった一人の少女であったことを。
作品紹介
『月下、花冠はほどけない』は、全寮制の女学院を舞台にした、ゴシック百合ライトノベルです。
元修道院を校舎とする聖エルミタージュ女学院には、上級生が下級生を一人選び、花冠を授ける「花冠の契り」という制度がある。
没落した旧華族の娘・黒宮百合は、春の雨が降る夜、学院の旧温室で“紫薔薇”と呼ばれる上級生・月城紫苑と出会う。
本来なら、卒業の日にほどかれるだけの清らかな契り。
けれど二人は、学院が許した名前の外で、互いを選んでしまう。
これは、ほどかれるはずだった花冠と、終わらなかった恋の物語。
世界観
舞台は、1930年前後の欧州を思わせる架空の女学院、聖エルミタージュ女学院。
かつて修道院だった校舎には、礼拝堂、温室、薔薇園、寄宿舎、そして使われなくなった北棟が残されている。
学院では生徒たちは厳格な規律のもとで生活し、本名ではなく花の名で呼ばれる。
互いの本名を呼ぶことが許されるのは、「花冠の契り」を結んだ相手だけ。
花冠の契り
三年生の上級生が、一年生の下級生を一人選び、花冠を授ける擬似姉妹制度。
授冠者は受冠者を導き、受冠者は授冠者を信じる。
それは学院に祝福された、清らかで美しい絆とされている。
けれど、その契りは永遠ではない。
卒業の日、花冠には鋏が入れられ、二人の契りはほどかれる。
登場人物
黒宮 百合
くろみや ゆり / 黒百合
本作の語り手。
没落した旧華族・黒宮家の娘として、聖エルミタージュ女学院へ入学する。
家の事情から学院内で孤立していたが、雨夜の温室で月城紫苑と出会い、花冠の契りを結ぶ。
光の少ない場所では黒く見える花、黒百合。
その名を最初に呼んだのは、紫苑だった。
月城 紫苑
つきしろ しおん / 紫薔薇
聖エルミタージュ女学院の三年生。
名家・月城家の令嬢であり、学院では“紫薔薇”と呼ばれる。
誰に対しても穏やかで、気品に満ちた上級生。
けれどその人生は、家の名、婚約、卒業後の未来によって、初めから決められていた。
百合へ花冠を贈ることだけが、紫苑が初めて自分で選んだことだった。
茉莉
モーリー / ジャスミン
百合の同室者。
異国から来た商家の娘で、静かで聡明な少女。
百合と紫苑の関係に深く踏み込みすぎることはないが、いつも百合の変化に気づいている。
何も聞かずに隣にいることのできる、百合にとって大切な友人。
エレノア
月城家に仕える女中頭。
紫苑が幼い頃からそばにおり、彼女の生活と将来を守る役目を担ってきた。
月城家の者として紫苑を連れ戻す立場にありながら、紫苑が初めて望んだ「十五分」だけは、黙って見逃した。
シスター・ロザリア
聖エルミタージュ女学院の修道女。
学院の規律を守る厳格な存在。
百合と紫苑の関係に気づきながらも、すべてを裁くことはしない。
沈黙の中で、二人にわずかな余白を残す。
目次
序章
第1部 出会い
- 第1話 雨夜の温室 前編
- 第1話 雨夜の温室 後編
- 第2話 月城紫苑 前編
- 第2話 月城紫苑 後編
- 第3話 黒百合
第2部 花冠の契り
- 第4話 選ばれた少女
- 第5話 紫薔薇の花冠
- 第6話 秘密の花園
- 第7話 夏の学院
第3部 崩れ始める永遠
- 第8話 卒業の知らせ
- 第9話 綺麗なままでいて
- 第10話 月下、黒百合に口づけ
第4部 永遠を騙る夜
- 第11話 朝の来ない部屋
- 第12話 秘密のままでいて
- 第13話 月下、永遠を騙る夜
- 間章 十五分
- 第14話 押し花
終章
- 終章 異常なし
関連楽曲
本作は、nya-nnnの楽曲「月下」シリーズの世界観をもとにした小説です。
原案楽曲
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作者
nya-nnn
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音楽、イラスト、小説を横断しながら、かわいくて重い物語を制作しています。
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